東日本巨大地震で被災した宮城県東松島市に派遣された三重県警捜査1課の伊藤嘉之・上席検視官(50)が25日、津市の県警本部で記者会見し、現地の惨状などを説明した。 県警は12〜25日に検視官20人を東松島市に派遣。検視官は遺体安置所になった石巻西高校体育館で約300体の身元や死因を特定する作業をした。 伊藤検視官は18日から1週間、乳児から90歳の高齢者まで約100体の遺体を検視した。「最初に視(み)たのが、おんぶひもがついたままの乳児だった。安置所で母親が遺体と対面した時は、声もかけられなかった」と振り返った。 死因は津波による水死が9割で、遺体の損傷は少なかったという。水が足りないなど厳しい環境だったが、伊藤検視官は「部下には『遺体はすべて身内だと思え』と指導した」と説明。「今も多くの身元不明の遺体があり、捜している遺族がいる。要請があれば、また力を貸したい」と話した。