鶴岡市立加茂水族館副館長 奥泉和也 今日は、「国推さなく浮きし油のごとくして久羅下なす漂えるとき」と、古事記の冒頭にも登場するクラゲの不思議な世界をご案内いたします。 入れた覚えもないのに不思議なこともあるもんだなと思いました。他の水族館の飼育員に電話で聞いたところ、「それはたぶんサカサクラゲだろう。サンゴの硬いところにポリプが付着して水槽内で増えたんだよ」と教えてくれました。 育て方を聞き2ヶ月ほどで500円玉くらいまで成長させ展示することができました。驚いたことにお客様は他の水槽の3倍から5倍も長くクラゲ水槽の前に止まっていたのです。 クラゲの魅力に気がついた我々は手探りで他のクラゲの飼育も始めました。ところが、ミズクラゲなど泳ぐクラゲを捕まえてきても体に空気が入ったり、排水溝に吸い込まれたりして上手に飼うことができませんでした。サカサクラゲは、泳がないクラゲなので、魚の水槽でも