前回は牛レバ刺しの規制の話をしました。「牛のレバ刺しが規制されたのは残念だけど、幸いにも豚レバ刺しは禁止されていない」という声もあるようですが、豚レバ刺しにもリスクはあります。その中でも、たぶんあまりよく知られていないE型肝炎の話をします。 E型肝炎は、かつては衛生状態の悪い国でE型肝炎ウイルスに汚染した水を介して流行する病気であり、日本では海外に旅行した人だけがかかる輸入感染症であると考えられていました。 しかし、日本のシカ、イノシシ、ブタにE型肝炎ウイルスが存在することがここ10年ぐらいの間に明らかになりました。これらの動物の肉や肝臓を生で、あるいは加熱不十分のまま摂取することによって感染します。E型肝炎ウイルスははじめから豚の肝臓や血液の中にいますので「新鮮だから大丈夫」とは言えません。 E型肝炎ウイルスに感染すると(運が良ければ不顕性感染で終わりますが)急性肝炎を発症します。食欲不