2013年8月30日のブックマーク (1件)

  • 関川夏央『昭和三十年代演習』書評 - 内田樹の研究室

    関川さんの新刊『昭和三十年代演習』(岩波書店)の書評をある新聞に寄せた。 お読みでない方が多いと思うので、採録する。 明治生まれの私の父は雪が降ると必ず「降る雪や明治は遠くなりにけり」と小さな声で詠じた。自分の生まれた時代が遠ざかってゆくことへの感懐がどんなものだか子どもの私にはわからなかったが、今は何となくわかる。 関川さんは私と同年である。昭和が遠くなり、そのときの「空気」を知らない人々に戦後の日社会のさまを説明しなければならないときにしばしば(私同様に)深い徒労感を覚えて、小さな声で「昭和は遠くなりにけり」と嘆じているはずである。 けれども、それに耐えて、関川さんは作家的使命感によって昭和を回想し、証言する心にしみる文章をたくさん書いた。『家族の昭和』『昭和が明るかった頃』『昭和時代回想』など、どれも戦後世代は胸の詰まる思いをせずには読み進められない。 関川さんの回想のきわだった特

    briemann
    briemann 2013/08/30