コーヒー屋を後にして散歩していたら、ある公園のことをふっと思い出した。 いまからどれくらい前のことだったかは思い出せないのだが、家から一駅分くらい離れたところをひとりで歩いていたら、とても感じの良い公園に出くわした。でも公園に入るのはまた今度にして、その場を後にした。たぶんその頃はずいぶんと寒い季節で、しかも自宅からの距離を考えるとその時点でだいぶ距離を歩いていたからだ。僕は疲れていた。 あのころの僕はいまと同じく無職でやたらと徘徊していた。散歩ではなく徘徊だ。いつどこを歩いたかなんてまったく覚えていないし、その時間はひとつもタメにならなかった。 あれから何度も徘徊したが、僕はその公園にたどり着けなかった。いや、そこを目指したことはその後いちどもなかったのだから、「たどり着けなかった」わけではない。 何度も自宅の半径4キロを徘徊したが、その公園に巡り会うことは二度となかった。歩いているとき