この7月に80歳で亡くなったSF作家の小松左京は、500近い作品を残した。全てが類い稀な想像力の産物だ。その一つひとつに21世紀を見通す目がある。「想像力こそが未来を拓く」という信念の結晶である。彼が残したメッセージから、未来を読み解くヒントを探る。 阪神大震災で高名な専門学者に絶望 50年前の「復活の日」は地球規模の感染症の話だ。キャスターの森本健成は「中学時代に読んだとき、実際には起るはずがないと思ったが、いま現実になっている」という。「首都消失」はライフラインが失われた時の東京の話だ。一極集中への警鐘でもある。「空中都市008」は中央電子脳・ウイルスの話だが、まだコンピューターがここまで普及していない40年前の作品だ。 代表作「日本沈没」は2巻で430万 部のベストセラーだが、完成までに9年を要している。大規模な地殻変動に見舞われた日本はどうなるか。人々は何を考え、どう生きるかを問い