加治屋健司 アメリカの作家ジョン・アップダイクの小説に「美術館と女たち」(一九六七年)という短編がある。主人公の男が、自分の母や妻、女友達と美術館を訪れたときのことを語る話である。少し前に「美術館女子」という言葉がSNS上で「炎上」したとき、この短編のことを考えずにはいられなかった。本稿では、「美術館女子」とは何だったのか、そして何が問題だったのかを考え、最後にアップダイクの小説の問題に戻りたい。 「美術館女子」というのは、読売新聞と全国の公立美術館約一五〇館が加盟する美術館連絡協議会が企画した特集である。AKB48チーム8(AKB48内のグループで各都道府県から一人ずつ選出されるチーム)のメンバーが「各地の美術館を訪れ、写真を通じて、アートの力を発信していく」というもので、美術館が好きな女性を意味する「美術館女子」を導き手として、写真とともに、美術や各地の美術館の魅力を伝えようとする企画
山脇直司 早いもので、私が西部劇に巻き込まれる形で駒場に赴任してから四半世紀も経ち、退職を迎えることになった。ここで言う西部劇とは、私と共に赴任するはずだったタレント学者の人事が頓挫したことに憤って辞職し、それを彼なりに劇場(戯画)化して出版し、かなりの話題を呼んだ教授の方の名前にちなむものである。一九八〇年代の初めに旧西ドイツから帰国し、当時の日本のニューアカと称する思想が島国日本だけでしか通用しない(今日の言葉でいえば)ガラパゴス化の産物に過ぎないと思っていた私としては、この三文劇を苦笑しながら受け取るしかなかった。 そうしたハプニングはさておき、着任して二年も経たなかった前任校を去ってまで私が駒場に赴任を決めた大きな理由は、学際性と国際性を理念に掲げる教養学部と、哲学と社会諸科学を再統合することを理念に掲げる社会科学科に大きな魅力を感じたためである。それ故、私は、東京大学に就職したと
3000人を超える新入生、そして約6000人のご家族のみなさま、その思い出に深く刻まれるであろうこの時をここに共有できることを光栄に存じます。 そして本学への入学を許可された新入生のみなさんが、本当に東京大学で学んでよかったとの深い喜びを抱いて卒業の日を迎えられることを心から願い、そのために本学の一員として微力を尽くしたいと考えます。 入学にあたり、新入生のみなさんには期待もあれば不安もあるでしょう。現在の心境も、各人各様かもしれません。大学で過ごす毎日が始まるこの時期に、これからの時間はどのような選択の場面なのか、ということをいくつかの観点から考えてもらいたいと思います。 まず自分自身にとっての選択。みなさんは、駒場キャンパスの教養学部において前期課程を過ごすことになります。東京大学は、高校卒業・大学入学段階の限られた知識・情報や先入観を頼りに学生がその専門を選択するのは適切ではないと考
期末レポートにおける不正行為について 本学部後期課程において、平成 26 年度冬学期の期末の課題として提出されたあ るレポートの文章の約 75%が、インターネット上に公開されている文章からの 引き写しであることが判明しました。言うまでもなく、他人の文章の無断借用は 剽窃であり、その行為が学問倫理上許されないことは明らかです。 教養学部では、前期課程・後期課程ともに「成績評価に関わる試験やレポート作 成において、不正行為が認められた者(協力者も含む。)は、その学期に履修し た全科目の単位を無効とする」という申し合わせをおこなっており、学生の皆さ んへの配布文書にもその旨明記してあります。今回もこれに基づき、厳正な処置 をとったことを周知いたします。 今回、こうした不正行為が発見されたことは大変遺憾なことです。今後はこのよ うな事案が二度と起こらないよう、学生の皆さんは学問的倫理を十分に自覚
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