2017/02/15 大江健三郎「芽むしり仔撃ち」(新潮文庫)-1 1958年の続き。 山の中の村。それはすでに生産力を失っていて沈滞している。そこに外部のものが現れて、村をかきまわし、活性化して、彼はスケープゴートとなって懲罰を受けたり破滅する。このプロットはこの小説を嚆矢に、繰り返し書かれた。著者の執筆時の年齢に応じて登場する外部のもの(あるいは村の余所者や脱走者だったりする)の年齢も変わる。そうしたプロットの小説は「万延元年のフットボール」「懐かしい時への手紙」「宙返り」がある。「同時代ゲーム」もそのバリエーションだろう(「燃えあがる緑の木」シリーズもそうだと思うが、第1作しか読んでいない)。逆順に読み返しているので、この著者最初の長編はのちに書かれた長編を思い起こさせるなつかしさをもたらすものだった。 ただ、のちの同じプロットの長編と異なるのは、村に闖入するものが完全に外部のもので
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