『シン・ゴジラ』は、もし現代社会に巨大怪獣が出現したら、政府与党や官僚、自衛隊はどのような対応をするかを、できうる限りリアルにシミュレーションした映画である。と言うか、本当にそれだけの内容しかない。民間人の姿は点景でしか描かれず、マスコミは政府の発表を伝えるだけ、野党の存在もほぼ無視されている。要は、それらの存在は、この国を左右するような力を持たないと初めから見なされている。 この映画では、まず非常事態に対応する官僚や政治家の、会議などでの言動が、細かいディティールのもとに描き出される。その物量は確かに圧倒的なのだが、それ以外の部分になると、いかにもアニメっぽい不自然な「決め台詞」が頻出し、一気に作り物めいてしまう。つまり、取材に基づいて動かしているとおぼしき部分についてのみ、ある種のリアルっぽさを演出できているわけだ。(だから”米上院議員の娘”の石原さとみのような役になると、徹頭徹尾うそ
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