北海道大学大学院理学研究院の松井雅樹教授、神戸大学大学院工学研究科の水畑 穣教授らの研究グループは、リチウムイオン電池の正極活物質*1として広く使用されているコバルト酸リチウム*2を、低温かつ短時間で合成する手法の開発に成功しました。 層状岩塩構造を持つコバルト酸リチウムは、通常800〜1000 ℃の高温で10〜20時間の長時間の焼成工程を経て合成されます。また、500 ℃以下の低温でコバルト酸リチウムの合成を行うと、結晶構造の異なるスピネル型コバルト酸リチウム*3が得られることから、層状コバルト酸リチウムは、高温のみで合成が可能な高温相であると考えられてきました。 今回の報告では、ハイドロフラックス法という新たな合成法を提案し、この手法を用いることで市販品と同等の結晶性を持つ層状コバルト酸リチウムを、300 ℃で30分という短時間で合成することに成功しました。また、この反応は150 ℃と