秋葉原に行ったら同行者がどうしても行きたいというので「とらの穴」に連れて行かれた。えーと、腐ってる方のとら穴。私はそのとき、むさい服にぼうぼうの武将ヒゲ。伸ばしっぱなしの蓬髪も含めて、どこからどう見ても落ち武者だった。 フロアにつくと、同行者はジャンプ系の棚を見て頭に「?」を浮かべた。 「アイシがない」 なるほど、確かに「アイシールド21」を題材にした同人誌が見当たらない。銀玉、ディグレ、ネウロにワンピ、果ては大蔵に至るまで網羅する腐の世界に、ヘルメットの姿がない。 「たぶん、すごいキチガイが怒って暴れたりしたんだよ」 と私が適当なことを言うと、同行者は「もしかしたら人気がないのかな」と寂しそうな顔でうつむいた。そんな悲しむことでもないと思うが。私は棚を見た。ありとあらゆるマンガ、ゲーム、その外すべてがピンク色のもやに包まれている。私はそこで一冊の本に目をとめた、タイトルは『生クリームのベ