【ろうかくこ。水内ダム】 発電ダム湖としては、日本でもっとも文学的? ダム名、貯水池名ともに難読。湖名は「ろうかくこ」と読み、ダムは「みのち」。 この難しい湖名の由来は、『或る女』で日本文学史に名を刻む有島武郎の弟で、画家の有島生馬がこの貯水池を前に激賞した名文による。 水清冽青きこと琅玕(ろうかん)の如く 景延曲鶴の將に飛翔せんとするに似たり 琅鶴の稱ある所以なり 画家ではなく作家かと思うような名調子だが、有島生馬は学習院の学生だったころ、のちに文豪となる若き志賀直哉らとともに小説を書いていた。「白樺」にも参加し、同誌でセザンヌを初めて日本に紹介したという功績もある。 「琅鶴湖」を簡単にいえば、宝石のような水の色をし、飛翔する鶴を思わせる形状をした湖というような感じだが、正直、期待が大きすぎただろうか。はたまた土木技術の発達でもっと厳しく美しい立地にあるダム湖が増えたせいか、訪れてみて感