確かに「男性のつらさ」に焦点を当てることは、ジェンダー平等を説く言説よりも、男性の関心を引くだろう。けれども、「無意識の特権意識」を刺激してしまえば、たとえ「男性性を変える」ことを呼びかけられても、その方向にはいかない男性も多いのではなかろうか。 男性の雇用が大きく変動しているにもかかわらず、男性の生き方に対する社会的イメージに変化がなく、そのギャップに苦しんでいる男性からすれば、「男性性を変える」ことよりも「男性の雇用をもと通りにする」こと――それは「フェミニズム叩き」に繋がるかもしれない――の方が、ずっとわかりやすいはずだ。 しかも田中氏が「男性性を変えよう」と主張する主な理由は、社会的公正や平等などの価値観ではなく、「もはや社会が変わってしまったから」という外在的根拠、「昔のような男性性を維持しても、メリットはない」という合理的根拠であるにすぎない。 実際、「仕事と結びついた男性性イ
![フェミニストの私は「男の生きづらさ」問題をどう考えるか(江原 由美子) @gendai_biz](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/f0087c0f1a7cf72513d120ca2975ac671c05a326/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fgendai-m.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F3%2Ff%2F1200m%2Fimg_3fd5d8628e9c24db97ef66f414169496153056.jpg)