中国脅威論の非現実性 首相夫人が名誉校長就任を引き受けていた私立小学校への、大阪府による異例の新設認可と、近畿財務局による異例の安価での土地提供の背景に、誰のいかなる判断が働いていたのか。公然とうそをついているのは誰か。当局は、適正手続き(デュープロセス)を重んずる法治国家であればマストであるはずの説明責任を果たさぬまま、追及側の根負けを待っているようだ。引き続き高止まりしている政権支持率が、彼らの強気を支えている。 支持率はなぜ下がらないのか。昨年7月31日付の当欄で筆者は、いわゆる「中国の脅威」論が、中国への対抗心を隠さない安倍政権の浮揚のエンジンになっていることを指摘した。そこに北朝鮮のミサイル問題も加わって、「国際的な緊張が高まる中、大阪のささいな事案で国会を空転させるのはけしからん」というような声がネットなどで目立つ。