気どるな、力強くめしをくえ!「大衆食堂の詩人」といわれた、後期高齢ステージ4癌男、エンテツこと遠藤哲夫のブログ。 小津映画には、食事のシーンが多いのだそうだ。『小津安二郎の食卓』(貴田庄、ちくま文庫)には、そう書いてある。 おれは、あまり小津映画を見てないが、それでも、なにしろ戦後の映画の復興期成長期に育ったのだから、何本かは映画館で見ている。それで、ことによると映画のスジも題名も思い出せなくても、登場人物が何かを食べているシーンだけが、ひょっこり頭に浮かぶことがある。 その代表格が、俳優の佐田啓二がとんかつ屋でとんかつを食べるシーンと、佐分利信がみそ汁ぶっかけめしを食べるシーンだ。 この本を読むと、佐田啓二のシーンは小津の遺作となった『秋刀魚の味』(1962年)で、佐分利信のみそ汁ぶっかけめしは『お茶漬けの味』(1952年)だ。 どちらも題名に食物の名や「味」といった言葉があるが、食事の