落ち着いた秋の日を散歩してみてみると ふと立ち止まっとしまう、こんな京町家。 丁寧に手入れされた前庭に ゆるいカーブのアプローチを 目でなぞって奥に顔を向けると、 立派な構えの二階建てが佇む。 そろり、と、扉を開ける。 明るい光が暗い廊下に 染みていくように反射する。 肌に触れる空気が すこしだけひんやりとする。 なんと見事な通り庭。 吹き抜けの高窓からの小さな四角が ほわりと空間を明るくしている。 昔ながらのおくどさん。 地面から出た水道の柱、 こんなものがまだ残っていたなんて。 歴史資料のような色彩のない世界。 またそろりと扉を開けると またしても時間のない空間。 下だけ空いたガラスと障子の扉越しに 明かりが溜まっている。 どこを取ってみても絵画のようで、 想像したままの京町家……。 床の間も、違い棚も、昔のすがたで。 戸のそばに腰掛け、 ふと足元に目をやるとここにも緑。 外の出入りの