「上京するから!」と あなたが言い出したときは、 それはそれは心配で。 そばにいてくれたら すぐに助けに行けるのに、 遠くにいたらできないじゃない。 そんな思いをグッとこらえて、 「行ってらっしゃい」と 必死に笑って送り出した。 あんなに小さかったのに、 自分で家を探せるまでに 大きくなっていたのね。 広すぎず、狭すぎず。 自分に合ったお部屋を、 ちゃんと見つけられたのね。 「ここにしようと思う」と あなたに写真を 見せてもらったとき、 実は少しだけホッとした。 なんだかやわらかくて、 明るくて、やさしくて。 あなたをちゃんと、 守ってくれる気がしたから。 「いいお部屋でしょ」と、 ビデオ通話の向こうで あなたがニコニコ笑う。 コンパクトな収納の横には、 お部屋にぴったりな木の ラックが置いてあった。 「自分で選んだの?」と聞けば、 「友達と買いに行った」と 照れくさそうに返ってくる。 収