古い廃ビルや館跡に入り込んで、 自分たちなりに改装して住み着く。 そんな妄想を子どもの頃に したこと、ないですか? 私はこの物件を一目見て、 懐かしい憧れというか、 かつての妄想を思い出しました。 私がしていた妄想は、館跡。 しかもお金持一家が住んだお屋敷のそれ。 高価な調度品は全て売りさばかれ、 解体もなぜか途中で止まり、 コンクリートが剥き出しになった空間。 ちょうどこんな感じに 質の良さそうな木材と 剥き出しのコンクリートが ミックスされた部屋で、 残されていた壊れかけの 大きなソファに体を沈める。 テレビを眺める私の頭上には、 明るいとは言い難いけどお気に入りの照明。 画面に流れる映画は もう何回も見てセリフも覚えた。 誰と見に行ったかは覚えていないけど、 人生で初めて 自分でお金を出して見に行った 映画だったことはよく覚えてる。 夏の映画といえばドラえもん、 という世界から大人に