文化はいかに情動をつくるのか――人と人のあいだの心理学 作者:バチャ・メスキータ,唐澤真弓紀伊國屋書店Amazon複数の集団の文化的データを分析すると、西洋人のサンプルが必ず分布の最端部に位置する──つまり、西洋人を対象とした研究は、地球人類・文化という観点からいうと決してスタンダードとはいえない──ことを明らかにした『WEIRD「現代人」の奇妙な心理』というノンフィクションについて今年のはじめに紹介したが、本作は、欧米人が「情動」の観点からいっても普遍的ではないことを示す一冊である。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp 情動とは要はemotionで、怒り、悲しみ、喜びといった感情のことを指している。で、かつては、怒りや喜びといった情動は国や文化によらずに存在するはずだから、人間にはその共通の心理的なプロセスが存在すると推測されていた。だが、著者らの研究によれば実は情