日本は賃金が増加しないという構造的な問題を抱えて久しいが、賃金が増加しすぎることの問題も極めて大きい。先日はこのテーマについてドイツが陥りつつある賃金と物価の「負のスパイラル」を事例に寄稿した。 【全画像をみる】最低時給が2000円越えした「賃金上がりすぎ」イギリスで起こっていること イギリスでは4月より、最低時給※が前年から9.8%増加し、11.44ポンドになった(図表1)。 折からの円安ということもあるが、日本円に換算すると、1ポンドが190円程度だから、ついに「イギリスの最低時給は2000円を超えた」ことになる。フルタイムで働いた場合、年間1800ポンド相当(約34万2000円)の賃上げとなる。従来は23歳以上が適用対象だったが、21歳以上に対象年齢が引き下がった。この恩恵を受けるイギリスの労働者は270万人以上となるようだ。 もちろん、これは「賃金」であるから、ここから税金や社会保