福島第1原発の事故を受け、福島県産ホウレンソウなど身近な野菜から、放射性ヨウ素やセシウムが暫定基準を大きく上回る数値で検出された。しかし、旧ソ連のチェルノブイリの被曝者医療などに20年間携わり、福島県の放射線健康リスク管理アドバイザーでもある長崎大大学院医歯薬学総合研究科の山下俊一教授は「すでに問題となっている野菜などを口にしていたとしても、基本的には心配ない」と話し、冷静な対応を求めている。 原子力発電の燃料に使うウランなどが核分裂して生まれる人工放射性物質の中でも、人体に悪影響を与えると指摘されるのが放射性ヨウ素と放射性セシウムだ。 放射性ヨウ素はガス状で、呼吸などを通じて体内に入ると甲状腺に集まり、長期間にわたって蓄積した場合は甲状腺がんなどを引き起こす危険性がある。 ただし放射性物質の量が半分になる半減期が約8日と短く、尿で排出されやすい。 一方、放射性セシウムは体内に取り込まれる