悦ちゃんが倒れていた場所には誰かが書いた詩が残されていた=中国広東省仏山市で2011年10月26日、隅俊之撮影 「見死不救(死にそうな人を助けない)行為を罰すべきだ」。中国広東省仏山で先月13日、ひき逃げされた2歳女児の横を市民18人が素通りし、女児が死亡した事件を受け、中国社会で道徳心の回復を訴える声が高まってきた。発展一辺倒でまい進する一方、鉄道事故などの対応をめぐり国際社会から「人命軽視」と批判される中国。小さな命を見捨てた今回の事件をきっかけに、若者を中心に「薄情社会からの転換」を求める声が上がり始めている。【仏山で隅俊之】 現場の「広仏五金城」には金属部品など1000軒以上の卸問屋が連なる。その中の暖房器具店に「陳」と名乗る男性がいた。18人の1人だ。記者が「なぜ素通りしたのか」と問うと、うつむきながら「本当に気づかなかった」と繰り返した。所在が判明したのは4人。陳氏と別の1人