「今シーズン来るヤツは凄いぞ。何しろブランコより飛ばすからな」 2011年の春季キャンプを前に、落合博満は満面の笑顔でそう言った。来るヤツの名はジョエル・グスマン。196cm・113kgとスケールの大きな右打ちのスラッガーで、外国人を担当していた森 繁和ヘッドコーチが4年をかけて契約に漕ぎ着けた。ドミニカ共和国出身で、17歳の時にロサンゼルス・ドジャースと契約。225万ドルという契約金は当時の最高額で、21歳のシーズンには早くもメジャー・デビューを果たしている。守りでは内外野をそつなくこなし、打てばトニ・ブランコを上回る飛距離を出す。球団史上初のリーグ連覇に強くこだわっていた落合が、どうしても欲しかった選手だった。 春季キャンプ、オープン戦を順調にこなし、東日本大震災によって4月12日まで延期された開幕戦、五番ライトでスタメン出場したグスマンは、3点を追う4回表に和田一浩の右犠飛で1点を返