4.近代日本における懐疑論と個人主義(続き)4.4 愛の思想について4.4.1 愛と意志まえおき 584. 前回は、「絶対」という概念を取り上げました。「絶対」は、明治期に「absolute」の訳語として新しい意味で使われるようになった漢語です。新たな語義は、「absolute」そのままに、「他と関係せず、それだけで完全で、なんの条件も課されない」というありさまをいいます(番外編2の14:552)。 585. 日本語人は明治期まで絶対という概念を必要としなかった。しかし、明治日本の憧憬の的だった西洋文明は、神 God という絶対を意識することで成り立っていた。絶対への眼差しを元来もたない日本語人が、近代化と西洋化を試みると、いったい何が起こるのか。これは、本ブログ全体にかかわる主題ですが、当面は、本居宣長を手がかりにして、絶対を知らない思考が愛(物のあわれを知ること)と認識(物の心を知
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