青色LEDの特許をめぐる2004年の中村裁判の東京地裁判決は衝撃的だった。東京地裁は、企業に所属する研究者の発明に対して200億円の支払いを命じた。その判決は、特許法第35条に基づいている。その後、中村氏と日亜化学工業は東京高裁に控訴したが、日亜化学工業が中村氏に対して特許対価約6億円を含む8億4000万円を支払うことで2005年1月11日に和解が成立した。中村裁判の後も、研究者が出身・所属企業を相手に訴訟を提起し高額な職務発明対価を獲得していった。こうした中で、企業は特許法第35条改正の必要性を訴え、職務発明は誰のものかといった問題を提起している。発明は個人によって行われる行為だが、企業における発明は経営リスクをとって研究を進め、情報を蓄積し、事業化している企業が存在して初めて可能になる。現在、特許庁は知的財産研究所において「職務発明制度に関する調査研究委員会」を立ち上げ、特許法第35条