俘虜記 (新潮文庫) 作者: 大岡昇平出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1967/08/14メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 19回この商品を含むブログ (41件) を見る 捕虜収容所内での日本兵は、盗みと賭博とオカマ演芸に夢中だった。 文学者だからこそ表現できた、堕落のリアリズム。 フィリピンの日本兵捕虜収容所は鉄条網に囲まれていた。その目的は二つあったと著者はいう。 一つは脱走を防ぐためである。しかし、著者の1年にわたる収容所生活の中で、脱走例は1件だけだった。米軍の捕虜であるかぎり、1日2700kcalの食事と安全が保証される。収容所の外に出れば、その贅沢を享受できないことは、日本兵なら誰もが知っていた。 もう一つは、現地人であるフィリピン人から身を守るためである。日本兵のフィリピンでの残虐行為は、マニラやバタンガスのものが有名らしい。 (第2次世界大戦でのフィリピン人の犠