「肉を食べませんか」というメールが入ったので出かけた。彼はふだん、食べものに関心がない。ごはんはどうしているんですかと訊くと、文字通り米飯の意味にとったらしく、ごはんはサトウさんに炊いてもらいます、と答えた。たまに食べますよ、ごはんはいいですね。 彼は外食産業をあまり利用しない。自炊もしない。摂取している食物を尋ねると、昼の社食が主な栄養源で、あとはスーパーマーケットで買った無個性なパン、少しの米(サトウさんが炊いたもの)、少しの総菜、それにチーズとバナナで生きているらしかった。誰かがおもしろがって成人男性の基礎代謝と比べると、彼はその三分の二しか摂取していなかった。 彼はたしかに華奢だけれど、女にしては長身の私よりもなお少し背丈があり、いくらなんでもその摂取カロリーで足りるはずはないのだった。だから彼はねじで動いているんじゃないかと言われていた。たしかに彼には、毎朝大きなねじを背中にさし