唐揚げにするとおいしい食卓の人気者メヒカリは、実はどんな生態か謎だらけの魚だ。深海魚アオメエソの通称だが、生殖能力がない未成魚しか水揚げされたことがなく、成魚が観察されたこともなかったため、どこでどうやって繁殖し、育っているのかも分からない。しかしこのほど、生態研究が一気に進むかも知れない大発見があった。 産地の一つ、福島県いわき市の環境水族館「アクアマリンふくしま」が今年8月、初めてメヒカリの卵を発見したのだ。いわき市は2001年、「市民に親しまれている」などの理由でメヒカリを「市の魚」に制定し、アクアマリンに研究を委託した。以来約20年、研究を手がける上席技師の山内信弥さん(48)は「基礎的なことも何も分かっていない魚だった」と振り返る。 まず解剖して胃の内容物を探り、何を食べているのか調べることから始めた。「砂にもぐっている」「群れで行動するようだ」。漁師から聞き取ったり、水中カメラ