ジブリの『借りぐらしのアリエッティ』を観てきた。 ジブリの新作だけは、映画館で見ることにしている。 『BRUTUS』の宮崎駿特集にも書いたけれど、宮崎駿の映画的達成については語るべきことが多い。 それはたぶん宮崎駿という人が、あまり「テーマ」とか「メッセージ」とかいうことを深く考えず、「描いて気持ちがいい絵」、「観て気持ちがいい動き」に集中しているからだろうと思う。 身体的な「気持ちのよさ」をもたらす要素は多様であり、私たちはそれを完全にリストアップすることはできない(半分もできない)。 でも、ひとつは確実にわかっている。 それは「ヒューマンスケールからの逸脱」である。 日常的な生活身体を以てしては決して経験することのできない「速度」や「高度」や「風景」や「体感」に同調することである。 凡庸な作家は、日常的には禁圧されている暴力とエロスを描けば「気持ちが良くなる」と思っている。 けれども、
インフルエンザは宇宙からの影響力? インフルエンザにもう少しこだわる。インフルエンザ(Influenza)という言葉は、18世紀にイタリア語から英語に入ってきた外来語だが、意味は英語の"influence"(影響)と同じ。現代人からすると、インフルエンザはウイルスの影響と考えたいところだが、当時はなぜか宇宙にある天体の影響と考えられていた。 インフルエンザ(Influenza)という言葉が英語に入ったのは1743年のこと。全欧を覆った流行性感冒が"influenza di catarro(咽喉・鼻粘膜炎症のインフルエンザ)"と呼ばれた。人間の病気が、天体によって起こるという考え方は現代からすると奇妙だが、当時は広く受け入れられていたようだ。 典型例には、1493年にスイスのアインジーデルンで生まれたパラケルスス(Paracelsus)の医学論がある。彼は各種の病気は、天体がもたらす毒が原因
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