大阪市阿倍野区に昭和町というまちがある。大阪メトロ御堂筋線天王寺駅からひと駅、日本一の高さを誇るあべのハルカス近鉄ビルを近くに望む古いまちだ。 その町名が示すとおり、ここは、大正から昭和にかけて大阪市の経済発展とともに、人口が急増したため、周辺の郡部を市に編入して市街化された。その時の町割りは、急増する住民を密度高く住まわせるために長屋を建築することを前提にした寸法で計画され、日本の中でも他に先駆けて土地区画整備事業が行われた。この時建てられた古い建物は、戦火の被害も少なかったことから現在もまちのいたる所に残されている。 しかし、かつてこれほどの活気があった昭和町も、30年ほど前から大正・昭和時代に建てられた古い建物は老朽化し、少子高齢化で人口も減少していった。以前は何でもそろった商店街も空き店舗が目立ち、周辺エリアの空き家や空き地も増えていった。 そんな衰退の途にあった昭和町界隈の再生に