そうだ、太田和彦さんと飲んだ話を書かなければ。 この日、山本彩香さんとご飯をしたあとのことだった。 夜21時すぎくらいだったかな。同行した方から「友人が太田和彦さんと飲んでいるらしいので、一緒に行きますか?」と誘われた。 実は迷った。「まだ」なのではないか、と。 店とかはそこそこ巡って、経験値も積んで、自分なりの考えも出来てはいる。でも、「まだ」なんじゃないか、と思った。まだ、この居酒屋の大家と飲むのは早いのではないかと。それは、いつか、もっと自分が自分なりに完成したあとのほうがいいのではないかと。 でも、いつかなんて来ないんだよね。完成なんてするわけもない。それが人間というもの。いまの自分をそのまま晒すしかないんじゃないかな。そう考えなおして「ぜひ」と答えた。 もう時間も遅いので彩香さんたちは帰った。 山本彩香という日本の宝と飲んだあと、太田和彦という、居酒屋好きな人にとっての日本の宝と