「自分の強みを会社が育ててくれた」というアサヒグループホールディングス(HD)の泉谷直木会長。本流のビールの営業畑をほとんど歩まず、10年ごとに独自の目標を掲げてステップアップ、新設部門のリーダーを次々任されてきた。ビジネスマン人生を振り返りながら、キャリアの磨き方や人材の評価制度などについて聞いた。 「入社10年目まではいわれたことは全部やった」――泉谷会長はどのようにキャリアを形成してきたのですか。 「社会に出た40年前から、ビジネスマンは10年ごとに目標というか、テーマを持ってやっていこうと考えた。最初の10年は、いわれたことを全部やることにした。まずは『修行』だと。特に私は学生時代スキーばかりやっていて、バイトの経験もなく、就職試験のときもアサヒビールしか受けなかった。食品会社に興味があって、たまたま受けて入社できた。シェアがどのくらいかも知らず、社会のことも何も知らなかった」 「