数年前には連日連夜大々的に取り上げられた“介護施設での事件”が、今回はテレビではあっさりと、紙面では三面で小さく報じられている。 今年の8月に東京都中野区の有料老人ホームで、入所者の男性(83歳)を殺害したとして元職員の男(25歳)が逮捕されたこちらの事件である。 ホームを運営するニチイケアパレスは 「遅刻や欠勤はほとんどなく、まじめに勤務していた。メンタルヘルスのチェックもしていたが、ひっかかることは一切なかった。当時の勤務体制は国の基準を満たしている」 と説明し、厚労省は介護施設の職員による高齢者への虐待が年々増加していることから(※)、自治体に再発防止策をとるように通知。施設長を対象に研修を実施し、「職員のストレス対策」として対人関係スキルの向上や感情コントロールスキルの習得などの教育を求めている。 ※厚労省の調査で介護施設での虐待は06年の54件から9年連続増加し、15年度は408