レンジャーズの春季キャンプが始まって間もない2月下旬。 投手の全体メニューを終えたダルビッシュは、グラブをおもむろに右手に移し替え、左腕でキャッチボールを始めた。 最初はマウンドからベースぐらいだった距離がぐんぐんと伸び、ついには60~70メートルに。米国人記者の一人が「あいつは左でも投げられるのか!」と驚きの声を上げた。 左でのキャッチボールは、プロ入り前から続ける恒例行事だ。プロ初登板の2005年6月15日にも試合直後に行っている。生理学的に左右の筋肉のバランスを取ったり、疲労回復を促したりする意味でも、反対の動作をすることは効果的だとされる。若くしてそのことを早くも意識していたのだろう。 左腕から投じられる球は昨季、日本ハムの梨田監督(当時)が「130キロ以上出る。武田勝より速い」と驚いていたほどに速くなり、スライダーやカットボール、チェンジアップも操ることが出来る。 さらに驚くべき