紹介 百姓になって30年。 津波で崩れた原発神話。列島を覆い、 土や水と農の営みに降り注いだ放射能という異物。 3.11から9年。 命あるものと向き合う百姓は今、何を想う。 野菜とともに送られた『菜園だより』、2011年3月10日から7年分を掲載。 梨木香歩(作家)【推薦のことば】 これは正真正銘、本物の百姓が地球と対話しながら紡いできた、そういう言葉による本だ。 土から丹精された正直な作物のように、伊藤さんの言葉は実体験を通り、一滴一滴落ちてくる。 それは清澄な詩、強靭な哲学となってまっすぐに私たちの心と体に届き、胸に響く。 借り物の思想、虚しい言説が巷に溢れるなか、本物の怒り、絶望、そして甦る希望がここにある。 何より、自然とともに生きることへの、湧き上がるような喜びが! 私たちは、簡単には消えていかない。 (本文より) 2011年3月28日 原発から発する霧と皆の喧騒とで 互いの顔も