井上理 日経ビジネス記者 1999年慶応義塾大学総合政策学部卒業、日経BPに入社。以来、ネット革命などIT業界やゲーム業界の動向を中心に取材。日本経済新聞への出向を経て2014年4月より日経ビジネスの電機・ITグループ この著者の記事を見る
前回はビジネスパーソンが本を書くとどんな変化が起こるか、について書きました。本を書くためにはプライベートの時間が犠牲になりますし、作品を仕上げていくのはそれなりの苦労があります。 ただ、仕事をしながら本を書くのは、傍目から見るほどは高いハードルではなく、特別な人でなくても実現は可能です。とはいっても、やり方には工夫が必要です。 では実際に、皆さんが会社で仕事をしながら本を書こうと思い立ったら、どうやって始めるのが最短距離なのでしょうか? 時間の無いビジネスパーソンにとっては、できるだけ負荷を低くして、効率的に本を出したいと思うのは当然です。 前回、本を書くために必要な3つの要素として、何を書くかという「コンテンツ力」、出版するきっかけを作る「出逢い力」、そしてコンテンツを実際の文字にしていく時間を確保する「時間管理力」が必要だと書きました。このそれぞれの要素を磨いていくことが出版への近道だ
もう数年前のことですが、日本コカ・コーラの関連会社の社長を務めている友人のオフィスへふらりと立ち寄ったところ、社長室の壁に1枚の額がかかっているのが目に留まりました。 何気なく読み出すうちに、私の体に電流が走りました。人との関わり合いの場で「ナルホド」と参考になる素晴らしいキーワードだったので、その場でコピーを無心して、以後大切に保管しています。 後で聞いたところによると、それは1923に社長の座に就き、約30年にわたってコカ・コーラ社の経営の采配を振るったロバート・ウッドラフ氏の言葉とのこと。原文は英語ですが、日本語を添えて内容の前半部分をご紹介しましょう。 ■The Most Important Words(最も重要な言葉)
まっとうなビジネスで世界と商売できなくなったから、自国文化の切り売りに走ろうぜ、といったところですか、思い切り端折った乱暴な総括だと。 たしかに目先の費用対効果は高いかもしれないですね。それが企業・ひいては日本自体の競争力の強化になるとはとても思えませんが。 商売を念頭においた文化振興・文化輸出といった部分でいつも思うのですが、はした金であぶく銭を儲けようという邪きわまりない根性が透けて見えて気持ち悪いです。ジャパニメーションで騒いでた頃、じっさいの製作現場の体力を強化して、海外の嗜好に合わせた大作を作りうる体制を整えたりしましたかね? 上っ面の宣伝でお茶濁しただけじゃないですか。 世の中にボロい儲け話なんてそうそう転がっているはずもない。かつて競争力も成長力もあった分野において、的確な資本配分を怠ったがゆえの沈没を無視して「これは目新しいから、これで海外に打って出よう」こんな商売がうまく
仕事のスキルを活かした、ボランティアの新しいスタイルである「プロボノ」。プロボノは、ビジネスパーソンがNPOなどの社会貢献活動に関わる切り口として、今後注目されていくだろう。 プロボノという考え方は、外資系企業や弁護士などでは一般的だが、日本の多くのビジネスパーソンにとってはまだ認知度は高くない。 しかしながら、日ごろパソコンに向かってデスクワークをしているオフィスワーカーにとってみれば、仕事のスキルを活かして社会的な課題解決に取り組むプロボノは、ボランティアへの参加の手法として親和性が高く、しかも、なかなかリアルに接することがない様々な社会的課題に対する理解や知見が深まるなど、“大人のための社会科見学”としての意味合いも持ち合わせている。 NPOにとってみても、プロボノでさまざまな企業人が活動を手伝ってくれることは、基本的には大歓迎なことだ。 とはいえ、NPO側の受け入れ体制や実行力の問
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン めでたく世界有数の長寿国となった日本で、幸せなはずの長生きを「リスク」ととらえる、憂うつな状況に陥っているのは残念なことです。その不安を打ち消そうと、年金保険や医療保険を買ったり、資産運用で収益を上げたりしようとするのですが、そのことで新たな不安や悩みが生じてしまうこともあるようです。加入している保険会社の経営は大丈夫だろうかとか、新商品が出ているようだけど乗り換えた方がいいのかとか、安定的な運用と言われたのにずいぶん損をしてしまったなど。 私がファイナンシャルプランナー(FP)になった当時、将来の収支予測を行うキャッシュフロー表の作成に際しては、収入の伸び率を3%程度に設定するのが当たり前でした。それがだんだん2%、1%と下げざるを得なくな
生きのいい珊瑚に蝟集する熱帯魚のように金融機関や投資家が我先にとネットベンチャーに群がる時代は、とうに過去のものとなった。 よほどの将来性と堅実なビジネスモデルがなければ、証券会社はおいそれと上場の主幹事を引き受けてくれない。上場できたとして、ネットバブル崩壊とライブドア事件を経た投資家の目は相当に厳しい。 しかしこの逆風下で、グリーだけは威勢がいい。主に携帯電話向けにソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)とゲームを提供するサイト「GREE」を運営する、創業5年目のベンチャーだ。 グリーが東証マザーズにデビューしたのは、世界中の市場が金融危機の影響で冷え込んでいた2008年12月のこと。それでも、公募価格を大きく上回る初値が付いた。その後、株価は右肩上がりの曲線を描きながら、今年9月末には上場来高値の5330円に至った。 10月23日時点の株価は4940円。それでも上場時の倍の水
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 世界のみならず、今の日本に対して、世の中には大変暗い見通しを持っている方が多いようです。が、私自身は、「生みの苦しみ」を味わいつつも、その後には生まれ変わった「新しい日本」が誕生すると強く信じてやみません。 なぜかって? 私は、これまで20数年間、自分のキャリアのほとんどを「ファンドマネジャー」という職業に捧げてきました。その経験から培った世界の見方から、「新しい日本」の可能性を感じているためです。 ファンドマネジャーとしての20数年間には、日系生保や外資系大手運用会社、独立系運用会社と勤務先は変わりましたし、投資対象も日本の債券(金利)、米国の債券(金利)、為替、米国株式、日本株式と様々な分野で仕事をしましたが、一貫してお客さまの大切な資産
水:だってね、GT-Rの開発に着手したのは今から4年前、“日産リバイバルプラン”が終わって、「さあ今度は“日産180(ワンエーティー)”だ」ってやってる頃だぜ。日産180で車種を拡大して売り上げを伸ばそうって時に、貴重な工数をどこの部署が割いてくれるのよ。どこだって出したくない。まして、エース級なんて出してくるわけがないよ。 F:それじゃGT-Rは特別な人たちで開発したクルマではないのですか? 選び抜かれた少数精鋭のスペシャリスト部隊が社長直轄プロジェクトに秘密裏に集まって……。 水:冗談でしょう、そんなもの。GT-Rはスペシャルだから社内の精鋭を集めるなんてさ、外から見た人のイメージでしかない。そもそも、(GT-Rの部品を納入してくれる)メーカーさんに行ったって、「このクソ忙しい時にたかだか月1000台の仕事なんかやっていられない」と言われちゃう。「水野さんとは長い付き合いだけど、100
「○○○は俺の嫁」 というレトリックをご存知でしょうか。この言い回しは、アニメやコミック、ゲームなどのファンの間でのみ通用するスラング(隠語)。○○○にはキャラクター名が入ります。そのニュアンスを正確に伝えるのは難しいのですが、そのキャラを自分のモノだけにしたいほど夢中です! という意味を持つ、最大級の褒め言葉のひとつと考えてください。 このような言葉があることからもわかるように、作品内に登場する女の子の魅力によってビジネスを成立させるという手法は、いまではごく当たり前のものになっています。 ビジネスとして考えると、これらは、計算が立ちやすい商品ともいえます。 女の子の魅力によって商品力が確定する傾向が強いため、「このイラストレーターが描く女の子が登場するゲームなら、だいたい○万本くらい売れるだろう」という事前予測が立てやすく、しかも大きく外れないんですね。 しかし。今年の秋、そんな市場に
日経ビジネスオンラインでは10月20日(火)より、10回にわたり「COLD JAPAN(コールド・ジャパン)~クール? コールドな日本産業の処方箋」を送る。 新たな政権を迎え、気分も新たに成長を進めようとしているニッポン。しかし、一方で、停滞する国内市場のもと喘いでいる企業も多く景気の先行きが不安視されている。「クール=カッコいい」ジャパンと呼んでいるわりには、内情は冷え切っており、なにか新しい世界との関係や突出したビジネスを誰もが渇望してやまない状況となっているようだ。 本連載では、最新の事例やケース=症例を豊富に取り上げながら、「巣ごもり」「ガラパゴス」などと揶揄される「コールド」なニッポンの現状を理論的な切り口で分析、《コールド・ジャパン》脱却と新たな成長のための「処方箋」を提言していく。本連載が、国内市場の凋落を前に、気分新たにこれからの成長を模索している企業の経営幹部やキーパーソ
ジャック・ウェルチ氏に代表される、強いリーダーを輩出する米ゼネラル・エレクトリック(GE)。年間に10億ドルを人材教育に投入、リーダーの育成に余念がない。その根底には、リーダー教育とは、個人に与えられた才能=個性を伸ばすことではなく、標準化可能な技術=型を身につけることであるという考え方がある。 リーマンショックを契機とする先の見えない経済危機において、リーダーは真価を問われている。環境の激変に、型を持たないリーダーはもろい。自分の拠り所を見失うからだ。企業にとって、型を持ったリーダーを増やすことこそ、成長を保証する唯一の解決策と言える。 世界に30万人の社員を抱えるGEで、日本人として初めてコーポレート・オフィサー(本社役員)となったのが藤森義明氏。日本GE社長兼CEO(最高経営責任者)で、米GEシニア・バイス・プレジデント(上席副社長)を務める。その藤森氏が、GEのリーダーに求められる
ジャック・ウェルチ氏に代表される、強いリーダーを輩出する米ゼネラル・エレクトリック(GE)。年間に10億ドルを人材教育に投入、リーダーの育成に余念がない。その根底には、リーダー教育とは、個人に与えられた才能=個性を伸ばすことではなく、標準化可能な技術=型を身につけることであるという考え方がある。 リーマンショックを契機とする先の見えない経済危機において、リーダーは真価を問われている。環境の激変に、型を持たないリーダーはもろい。自分の拠り所を見失うからだ。企業にとって、型を持ったリーダーを増やすことこそ、成長を保証する唯一の解決策と言える。 世界に30万人の社員を抱えるGEで、日本人として初めてコーポレート・オフィサー(本社役員)となったのが藤森義明氏。日本GE社長兼CEO(最高経営責任者)で、米GEシニア・バイス・プレジデント(上席副社長)を務める。その藤森氏が、GEのリーダーに求められる
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 前回、国境の壁を何とも思わないパワフルな下着メーカーであるPants to Poverty(パンツ・トゥ・ポバティー)を取り上げたところ、販売サイトのアクセスが急伸したという、喜びの報告をスタッフの方から頂戴しました。 お買い上げいただいた方もいらっしゃったようです。私も愛用しており、この肌触りの良さは病みつきになります。 さて、私は「未来の仕事」を考える要素として、「国境はハードルならず」「ワラジは2足以上履け」という2つの視点がヒントになると思っています。今回は、「ワラジは2足以上履け」について話を進めていきます。 Cho君。この名を覚えていていますか? こちらも前回、取り上げました。私の経営するソウ・エクスペリエンスのスタッフがお世話に
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 「新さんは、何回も転職をご経験されているんですね」。時々、私の略歴をご覧になった方からそう言われることがあります。 確かに私は、新卒で入社したシェル石油(現・昭和シェル石油)に10年間勤務した後、日本コカ・コーラ(10年)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(12年)、その後は4年刻みでグローバル企業を3社経験しました。独立して経営アドバイザーを生業とするようになるまでに、実に5回の転職を経験したことになります。 私が会社勤めをしていた頃は、まだ今のように転職が一般的でない時代でした。にもかかわらず会社を5度も変わっているのですから、よほどの“転職好き”と思われるかもしれません。 しかし、さにあらず。若いビジネスマンから「キャリアのことで悩んでい
(前回から読む) 竹森 日本の政治について、『経済危機は9つの顔を持つ』の対談では、コロンビア大学のジェラルド・カーティスさんが非常にいいことを言っていました。彼は、「私はマニフェストには反対です」というのです。誰かが思いつきで言ったことを一度マニフェストに書き込めば、後々まで政策の足を縛ることになるからということです。政策への拘束を避けるためには、むしろ漠然としたものでも良いから哲学を書くべきだと言っています。 例えば、今の日本は、米国並みの社会保障費で欧州並みの社会保障の実現を希望しているけれども、それは明らかに無理です。ではどうするのか。長期的には欧州型の社会保障費と社会保障のモデルを志向するといった、そういうことをマニフェストに書けばよい。そうなると消費税はどうなるの、といった具体的な質問が出てくるでしょうが、それについては景気の悪いときには消費税は上げないと、原則だけを言えばいい
このコラムについて 19世紀がヒトとモノ(物質)、20世紀がマネー(金融)のエコノミーだとしたら、21世紀は何か。この質問に対する、有力解の1つは「ビット(情報)のエコノミー」だろう。現実に、中南米やアフリカを視野に入れたケータイの普及という形で、ビット・エコノミーを構築しようと国や企業が動き始めている。「ガラパゴス」日本にチャンスはあるのか。世界で思惑がうごめくケータイ産業の最前線を描く。 記事一覧 記事一覧 2010年12月27日 2011年、ケータイ業界は体力勝負の様相 ≪最終回≫クロサカ流2010年10大ニュースから先読み 2011年はどんな年になるのか。本連載では当初から、2011~2012年がケータイ産業の大きな節目となる重要なタイミングであることを指摘してきた。ただすべての決着がつくというのではなさそうだ。 2010年12月9日 電波をどう使う? 「とりまとめ」に透ける規制当
米国のメディアは収入減から窮地に立たされ、各社は新しいビジネスモデルを必死で模索している(関連記事「メディアのリストラが加速」)。 前回の本欄は、新聞・雑誌サイトの課金代行サービスを提供するベンチャー企業「ジャーナリズム・オンライン」について扱った(「米新聞・雑誌のネット版、課金に向けて舵を切る」)。 その一方で、「コンテンツは無料」との認識が定着した現状ではネット上での課金は難しいので、寄付を募る方が効果的だとする見方もある。そして、ネット上での寄付を可能にしようとするベンチャー企業も複数の会社が設立されるに至っている。 今回は、そうしたベンチャー企業の中から、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で自分はいかなる人物かを明らかにするのが定着した流れを踏まえてシリコンバレーで創業したカチングル社を取り上げる。
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