楽器、歌は現実世界ではごく普通にあたりまえに存在するものだが、「街」には存在しない。 1)存在しない→はるか昔に忘れ去られてしまっている、という設定がポイント。「街」では壁の監視システムにより過去の記憶に関するアイテムにアクセスすることは許されない。 2)楽器や歌により、図書館の女の子が保持していた、わずかな<心>が動き始める。同時に僕の「影」が壁の監視システムをすり抜ける案を考え出し、実行に移すため僕を説得する。左記の2つのキーワードが出た後では、「街」の決まりに対して逆らう動きが出現する。 <「街」の構造とその意味> この作品の最も魅力的な点は、壁に囲まれた「街」の構造と決まり事であろう。ここでのキーポイントは、<穏やかな世界>、<心>であろう。まず、この世界が人工的にできているという点では異存はない。そもそも壁で囲まれており、街に入るとき門番が「影」を切り離すというのも人工的である。