劇症型溶血性レンサ球菌、いわゆる「人食いバクテリア」による感染症の感染者が例年より増えている。なぜ劇症化するのか、先行研究から探ってみた。 急速に重症化 劇症型レンサ球菌感染症(劇症型溶血性レンサ球菌感染症)はいわゆる「人食いバクテリア症」ともいわれ、1990年代から米国などでメディアが「Man Eater Bacteria (Flesh-eating Bacteria)」と報じてから、広く周知されるようになった(※1)。だが、19世紀から猩紅熱として報告されている感染症の多くが、劇症型レンサ球菌感染症と考えられている(※2)。 この感染症は、一般的な咽頭炎、中耳炎、傷の化膿、猩紅熱などを引き起こすA群溶血性レンサ球菌咽頭炎 (溶連菌感染症)が劇症化し、身体の組織を壊死させ、多臓器不全や敗血症によるショックを引き起こすなどして重篤な症状になり、死亡するケースもある感染症だ。 初期症状として