代々木ゼミナールが拠点7校舎だけを残し、そのほか20校舎の閉鎖を決定したことがニュースとなった。「高校で学んだことより、予備校で学んだことの方が多い。勉強も、人生も」。こううそぶく人は、ちらほらいる。それだけに、このニュースは、現役生のみならず予備校卒業生にとってのインパクトも小さくはなかったのだと思える。 20世紀の文字どおり世紀末、高三の僕は、まだベネッセの傘下に入るまえのお茶の水ゼミナールに通っていた。大手予備校に比べれば、講師陣はどこかのほほんとしていたが、その一人に、小論文の講座を担当していた風貌の冴えない大学院生があった。某国立大の大学院で台湾研究を専攻しているという彼が、ある小論文のテーマについて解説する中、こうつぶやいたことがある。