プログラミングをはじめとする実装技術を学ぶのは実に楽しい。それまで使えなかった技術を使えるようになる喜びは何物にも代えがたい。筆者は50代のプログラマーである。これまでの経験を振り返ると、自分の道具箱の中身が充実していく実感はソフトウエア開発者としての職業人生がもたらす至福の1つだと言い切れる。 本連載の読者の大半はソフトウエア開発に携わる技術者だろうから実装技術を学ぶことの大切さや楽しさはよく分かっておられると思う。ただし皆さんはご自分のそういった「技術親和性」が意外な陥穽になり得ると気付いておられるだろうか。技術親和性は技術者にとって無条件に良いものとみなされているためか、それがもたらす負の側面はほとんど語られることがない。 実装技術の学び過ぎがもたらすある種のリスクについて、今のうちに知っておいたほうがいい。何のためか。ソフトウエア開発という魅力的な仕事を、50代、60代になっても誇