「海外に行かなければ何も達成できなかっただろう。我が国は画一的な価値観だけが『生き残る武器』になる社会だ」「教育制度が子どもたちを圧殺している」「『やっていくうちにどうにかなるものさ』と励ますのも難しい時代だ。学生たちは博士課程進学を恐れている。基礎研究の成果を社会は待たなければならない」 利根川進氏(1987年ノーベル医学生理学賞)、小柴昌俊氏(2002年同物理学賞)、大隅良典氏(16年同医学生理学賞)の言葉だ。基礎科学研究が冷遇されていたのは韓国だけでなく日本も同じだ。どこでも「基礎」を研究する人々は腹をすかせている。金を稼ぐのは「応用学問」だ。それが資本主義だ。 では、なぜ日本では2000年以降、科学分野だけで16人のノーベル賞受賞者を輩出できたのだろうか。匠(たくみ)の精神や職人かたぎ・責任感・執着に近いオタク気質・「へそ曲がり」の精神など、「物事に取り組む姿勢」に関するさまざ