黒沢清監督作がシネコンに! 自殺を図り、昏睡状態になった恋人の淳美。新技術センシングによって、彼女の意識の中に入れることとなった浩市だが、夢の中にいる淳美と意思の疎通が取れない。さらに、後遺症が彼自身の現実をも浸食し始める。それでもセンシングを繰り返す浩市の前に、記憶の奥底に潜んでいた過去が立ちはだかる……。 劇場で見るのは『回路』以来で、ソフトも含めると『LOFT』以来の鑑賞ということになるかな。まさかシネコン、それも梅田の最大スクリーンで観られるとは思わなかったよ。 他人の脳内の仮想現実の中に入る、ということで、もっとトリッキーな話にも出来ると思うが、ネタこそ仕込んであるものの、作りは割合シンプル。原作ありきで、漫画の独白のような台詞回しが、またいい感じに現実感のなさを煽る。今作で完全に黒沢清映画の定番キャストの地位を確立したか、中谷美紀の変な猫なで声と怪演も気味が悪い。 自分を拒絶し