熱膨張率(coefficient of thermal expansion: CTE)は、温度の変化によって、物体の長さや体積が、膨張あるいは収縮する割合を、温度当たりで示したものである。熱膨張係数や単に膨張係数とも呼ばれる。筆者は膨張係数が馴染みのある言葉であるため、以降、線膨張係数を膨張係数と表現する。 また、温度変化による長さの変化に対しては、線膨張率、線膨張係数と呼ばれ、体積の変化に対しては、体積膨張率と呼ばれる。特に指定の無い場合、線膨張率、線膨張係数を意味する場合が多く、膨張率をαと示されている場合は、線膨張率、線膨張係数のことである。単位は1/Kや1/℃で示され、多くの場合、温度範囲が示されている。これは、後述する通り、温度範囲で膨張係数が変化するためである。 日常生活において膨張係数と関係する事例は、結構多い。たとえば、家庭のガラスのコップにお湯を注ぐと割れるが、理科の実験
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