主応力は応力テンソルの固有値そのものなので、前項では固有値の考え方をベースにまとめました。ここでは少し視点を変えて、幾何学的に主応力あるいは応力の方向性について理解する方法であるモールの応力円についてまとめてみたいと思います。 モールの応力円式の導出 今回は話を簡単にするため2次元で考えることとします。図5-2-1はこれからの計算で想定する状況を示しています。ここではx軸、y軸に主応力が一致しているものとします。 ここで、x軸からθだけ傾いた方向ベクトルnを法線とする面(ここではn面と呼ぶ)を考え、この面に働く応力(垂直応力、せん断応力)を算出します。モールの応力円の式は、このような任意断面に働く垂直応力、せん断応力の関係から導出することができます。 任意断面に働く応力を求める方法にはいろいろありますが、3項で示した特定の方向応力を抽出する式(3-5)を用いて求めてみます。 n面に働く垂直