昨今、日本では法改正が盛んに行われているにもかかわらず、ステークホルダー(利害関係者)重視という日本型コーポレートガバナンスをどう再構築すべきかは定まっていない。また、資本市場や国際的投資家からの改革の圧力は増している。株主価値の最大化を目指すアメリカ型ガバナンスを推奨する意見が根強い一方で、この方式には株主以外のステークホルダーの権利を軽視しているという批判もある。問題は、細部に潜んでいる。どうしたら株主の利益と従業員などのような株主以外のステークホルダーの利益を効果的なガバナンス制度の中で一致させることができるのだろうか。ここで、日本の経験を日本と同様にステークホルダー重視のドイツ型コーポレートガバナンスと比較することが有効となる。 コーポレートガバナンスについての考え方は、過去20年で大きく変わった。1980年代、従業員、銀行、またはサプライヤーといった株主以外のステークホルダーのコ