縦に割られたマンモスの牙(手前)。米アラスカ大学フェアバンクス校のアラスカ安定同位体分析施設にて。後ろでは研究員のカレン・スパレータ氏が分析の準備をしている。(JR ANCHETA UNIVERSITY OF ALASKA FAIRBANKS) マンモスの牙には、旅や食事、死の様子まで、その生涯の物語が刻まれている。牙は歯茎の下から生え、生涯にわたって伸び続ける。「牙の先端は若いときに、根元は晩年に形成されたものです。その間のすべての部分がマンモスの一生の記録です」と米アラスカ大学フェアバンクス校の生態学者マシュー・ウラー氏は話す。 【図解】こまでわかったケナガマンモス「キック」の一生 とはいえ、実際に牙を調べて生涯の物語を解釈するのは非常に難しいのだが、ウラー氏が率いる研究グループは今回、それをやってのけた。氏らが8月13日付けで学術誌「サイエンス」に発表した論文では、約1万7000年前