「蒸気圧縮」の原理を発見したファラデー(左)。彼はまた、液化アンモニアによる冷却も発見し、後にカール・F・リンデがアンモニアを冷媒とした冷蔵庫を発明している(右) photos by gettyimages 新技術の意義を理解するために、まずわれわれは、そもそも冷蔵庫がなぜ「冷える」のかを知らねばならない。そう、そんなこともわかっていなかったのだ。 じつは、現在の冷蔵庫が冷えるのは「蒸気圧縮」という基本原理のおかげである。藤田さんによれば、この原理を最初に発見したのは、電磁気学の立役者の一人であり名著『ろうそくの科学』でも知られる、あのマイケル・ファラデーだそうだ。19世紀の話である。 「液体が気化するとき、周囲の熱を吸収します。これが気化熱です。この気体を圧縮すると温度が上がり、吸収した熱が外に捨てられます。これを利用して20世紀初めに発明されたのが、電気冷蔵庫です。気化したガスが熱を吸