「コロナ禍や気候変動の原因は、人類の経済活動が地球を破壊していることにある」。そう語るのは、新著『人新世の「資本論」』を上梓した斎藤幸平氏だ。資本主義のもと、現代人が無限の経済成長を追求したせいで、環境危機を引き起こし、地球を人間が住めない場所にしつつあると指摘する。しかし、資本主義を捨てた文明に繁栄はあるのか。「解決策は晩期マルクスの思想の中にある」と斎藤氏は言う。それはいったいどういうことなのか。政治学者・中島岳志氏との対話でひもといていく。 この記事の写真を見る ■環境危機を引き起こしたのは資本主義 中島:2020年がどんな年だったかを振り返る際に、春からコロナ禍と夏の異常なまでの酷暑、つまり気候変動を抜いて考えることはできませんが、この2つを根源的に考えるにあたって、斎藤さんの新著『人新世の「資本論」』は、絶好の1冊です。コロナ禍についても、気候変動についても、非常に的を射た分析に