昔はよく夏休みになると、姉と祖母と映画に行っていた。両親が共働きで忙しく、遊びに連れて行けない代わりにと祖母がいつもたくさん映画を見せてくれた。 ジブリ作品、ハリウッド映画、人気アニメ…夢中になってスクリーンにかじりつくと、自分が映画館の椅子に座っていることも忘れて、映画の中に入り込んだような錯覚に何度も陥った。クレヨンしんちゃんの映画の終盤(確か暗黒斎の野望だったと思う)で、クレヨンしんちゃんが現実世界に戻れなさそうな時は、姉と祖母に両手を繋いでもらってしんちゃんを助けて!と泣きながら見たのを覚えている。 いつだって僕は映画が終わっても余韻が抜けなかった。スターウォーズをみた後はまだ宇宙船に乗ってるような気がしたし、タイタニックをみた後もまだ気持ちは豪華客船に乗ったままだった。映画をみた後は現実世界が逆に嘘みたいで、どうやったら気持ちが映画を見る前に戻れるのか真剣に悩んだくらいだ。 だけ