九月一日、勤め先の塾に来た女子生徒が、私の顔を見た途端に泣きだしてしまった。 もともと人付き合いが苦手で、夏休みのはじめには「学校に行かなくていいだけでしあわせ」と大喜びしていた子だった。勉強も苦手だったが、塾に通い始めてから奮起し、勉強してこなかった焦りと戦いながら志望校に向けて努力してきた生徒だ。 もうやだ、とその子はいう。 夏休み中、文化祭の準備に行かなければいけない日が何度もあった。その子もはじめは参加していたものの、だんだん勉強時間をとられる焦りと学校へ行かされるストレスで起き上がれなくなる。 結局、休んで勉強することを選び、始業式で久しぶりに学校に行った彼女は、クラスメイトと担任教諭の双方に責められたらしい。 「みんながんばってるんだから、○○さんだけ特別扱いはできない」 「推薦受験の子は○○さんより早く受験なんだから、もっと大変なのに」 「そんなの『わがまま』でしょ」 「文化